柳家は一九七五年、盛岡市大通にあるさわや書店三階に手打ちそば屋として開店しました。当時は「二階以上の飲食店は流行らない」といった声も聞かれましたが、初代店主の大信田和一氏は信じていました。「想いを込めた一杯は、きっとお客様の心に響く」。和一氏はそれを「一生一品」と名付けました。
ボリューム満点でネーミングがユニーク、そして和一氏の気合を込めて作る姿が評判となり、今や岩手を代表するラーメン店として知られるようになりました。
開店から四十年あまり。「一生一品」は多くのスタッフへと受け継がれ、さらなる進化を遂げようとしています。
初代店主、大信田和一氏は、十六歳から盛岡駅前の仕出し屋で丁稚奉公をしていました。当時、ご主人に作ってもらった納豆汁は、感動的な美味しさでした。その味を思い出し、ラーメンにアレンジしたのが「納豆ラーメン」です。
ある日、まかないで納豆ラーメンを食べていたとき、傍らに香の物としてキムチを置いていました。女将の良子さんはひらめきます。「キムチの辛味、酸味が納豆ラーメンに合うのでは・・・」。試してみると、発酵食品同士、相性が抜群。日常の一コマから、名物ラーメンは誕生しました。